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作品名 | はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児 |
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作者 | 著:沖田×華/原作:君影草 |
ジャンル | コミックエッセイ |
巻数 | 全1巻/完結済 |
発達障害を持つ子どもが、特別支援学校への進学を希望するも“知能が高すぎる”せいで受け入れてもらえない!?
健常児と障害児の「はざま」で奮闘する、母と息子のノンフィクションコミックエッセイ。
— 引用元:公式あらすじより抜粋(一部要約)当ブログによる評価:お気に入り度★3.5、おすすめ度★3
お気に入り度筆者の好みや思い入れに基づいた主観評価
おすすめ度誰にでも勧められるかを基準にした客観評価

母子どちらにも感情移入してしまい、読んでいて胸が詰まるところもありました。
この作品を通して、身近に障害児がいない方にも「そういう子がいる」ことを知ってもらえたら嬉しいです。
年代別おすすめ度(小学生〜高校生)
年代 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
小学生低学年 | △ | テーマが伝わらないかも |
小学生高学年 | ◎ | 自分に当てはめて想像できる |
中学生 | ◯ | 多様性を理解し始める |
高校生以上 | ◯ | 社会的背景を考えられる |
- 境界知能児のリアルを知りたい
- 家族や友達の温かさを感じたい
- 困難の中で頑張る姿を応援したい

『はざまのコドモ』感想レビュー(ネタバレ度:中)
本作の魅力・見どころ
- 実体験だからこそ、主人公親子のリアルな苦楽に心を打たれる
- さらっと軽妙なタッチで描かれ、つらい展開でも暗くなり過ぎない
- 当事者でなければ直面しない、支援制度のあり方に一石を投じる
ネット版について
あとがきで知ったのですが、本作『はざまのコドモ』には、原作者の君影草さんが描いたネット掲載版が存在します。
『はざまのセイカツ』というタイトルで、今もPixivから閲覧可能です(2025年8月現在)
- 母親(君影草さん)自ら執筆
- 作中の文章が多くて長い
- 乳幼児期の描写はほとんどない
- 中学卒業後の進路にも言及する
おそらくはページ数の都合で、かなり文章が詰まっています。説明もセリフもみっちりです。
書籍版は、ヨシ君が産まれてから中学生活の途中までで120ページ超。
ネット版は約8ページなので、多数の描き下ろしエピソードがあっても、書籍版の方がゆったりと間をとることができます。

周囲の理解がなさすぎる
医師は人体、保育士は乳幼児の生活における専門家です。
そんな相手から「気にし過ぎ」なんて責められたらしんどいですよね〜!
昔のほうが発達障害への理解に乏しかったとはいえ、あまりにも無神経な発言で腹が立ちました。
知能テストに対する反応
特性を理解してもらえない苦悩は、ヨシ君が小学校に入ってからも続きます。
「学校の偏差値を下げる」などという、とんでもない理由でテストを受けさせてもらえないヨシ君。
療育手帳の交付範囲よりIQが高く、焦るお母さんとは裏腹に「100点とってみたいから頑張るよ」とはりきります。

療育手帳がなければ、支援のある中学校には進学できません。
こうしてヨシ君は、日本の制度のすきまにハマった「はざまのコドモ」になってしまうのです。
捨てる神あれば拾う神あり
担任の先生や家庭環境の変化により、ヨシ君には強いストレスがかかっていました。
友達には恵まれていたのに、先生が嫌だという理由で林間学校を欠席するまでに。
ヨシ君を心配し、難病(のちに線維筋痛症と判明)に悩まされ、心も体も弱っていくお母さん…。
四面楚歌にも感じられる中、
- たくさん褒めて、自信を取り戻させてくれた学習塾
- 小学校の物言いに対し、当人以上に怒ってくれたT健康学園の先生
- 支援学級と嘆願書という解決策を示してくれた、教育委員会の職員さん
こういった優しい方々に、どれほど救われたことでしょう。

まとめ:境界知能の子どもと家族の実態を垣間見る一冊
『はざまのコドモ』は実話を描いたコミックエッセイということで、時には目を覆いたくなる現実にも直面します。
しかし、さすがは『透明なゆりかご』など、重いテーマの扱いに長ける沖田×華さん。
絶妙なバランス感覚で、苦しみというよりはむしろ、人々の温もりや未来への希望を感じる作品に仕上がっています。
もし今、時間を戻して人生をやり直せると言われても私はよしくんを生むよ。
— 引用元:はざまのセイカツより抜粋君影草さんが原作の中で発したセリフからも、ヨシ君との生活がどんなに幸せか伝わってきます!
