作品名 | その着せ替え人形は恋をする |
---|---|
作者 | 福田晋一 |
ジャンル | コスプレ×学園ラブコメディ |
巻数 | 全15巻(完結済) |
雛人形の頭師を目指す主人公、五条新菜は、クラスのギャル、喜多川海夢のコスプレ衣装を作る事に。しかし…タイムリミットはたったの2週間!?
乗り越えた先に、海夢の笑顔があると信じて――新菜、試練の刻!! コスプレ活動本格始動でドキドキも大増量の第2巻!!
— 引用元:公式あらすじより
当ブログによる評価:お気に入り度★4、おすすめ度★4

状況説明の導入が終わり、主人公とヒロインの魅力が開花。1巻も悪くなかったけど、それより格段に面白く感じたよ!
年代別おすすめ度
※1巻レビュー記事より再掲
- 主人公の能力が高く、強い意志を持っている漫画を読みたい
- 「好き」な気持ちをはっきりと自覚する、初々しい恋愛模様を楽しみたい
- コスプレイベントの熱気を感じたい
1巻と同じく、性的な表現がちらほら見受けられます。
上記の表では「中学生◎」としていますが
- インターネットが身近な世代であること
- 近年の漫画は過激な描写が珍しくないこと
これらを考慮しての判断であり、年齢制限についてはゆるめの評価です。
倫理的には15歳以上推奨ですので、その旨ご了承ください〜!
『その着せ替え人形は恋をする』2巻 感想レビュー(ネタバレ度:中)
1巻でキャラクター紹介、ヒロインとの出会いを終えて、本格的に始動するコスプレ恋愛物語。
作画にも気合が入っており、ガラリと雰囲気を変えた“着せ替え人形”が、いよいよ本領を発揮する2巻です!
まだ読んでいない方はご注意ください
タイムリミットは2週間!
三面図と材料をそろえ、初めての“ヒト用”衣装作成に挑む五条君。
焦りながらも間に合わせようと奮闘する彼に、次々と試練が降りかかります。
- 同居している祖父が倒れて腰を打ち、病院に付き添う(心配で身が入らない)
- 中間テストへ向けての勉強もしないといけない
- 雛人形の工房見学を希望するお客さんから電話があり、事情を踏まえて引き受ける



もう諦めていいんだよ…!
覚悟を決める五条君
寝不足と疲労でボロボロになった姿を見ると、ぶん投げて寝ちまえよと言ってあげたくなりますね…。
現に五条君も、間に合わないとわかった時点で落ち込んで、自己嫌悪に涙を流します。
しかし彼は、そこで終わる男ではなかったのです。
海夢の喜ぶ顔が見たい
絶望に沈む五条君は、雛人形作りの師匠でもある祖父の言葉を思い出します。
喜んで欲しいから しんどくても頑張れるもんだぞ
— 引用元:『その着せ替え人形は恋をする』2巻より
学校では独りだった五条君にとって、自分を頼りにして「友達じゃん」と言ってくれる海夢は特別な存在。
すでに限界の身体にムチを打って、針と糸を手に取ります。
そうして仕上がった衣装、はたして海夢の反応は――?
五条君の努力が実を結び、海夢に芽生える恋心
いや〜〜素晴らしかったです!!
前回の記事で「1巻の前半は面白くない」なんてほざいてすみませんでした。


登場時は状況説明に追われて、五条君や海夢の長所が伝わってこなかったんですよ…。
- 工房案内や衣装作りで、人のために頑張れる五条君の優しさ
- 意外にも気配り上手で、喜怒哀楽を素直に出せる海夢の可愛さ
- 仲良く趣味に全力投球する2人の情熱
今回はこういった魅力が遺憾なく発揮されていて、素直に物語を楽しめました!
コスプレイベント編も見応えあり
後半で参戦したイベントの描写も良かったです。海夢をはじめ参加者全員が本当に楽しそうで、見ていても気持ちがいいです!
また、恋愛とギャグの緩急が絶妙。
雫たんに扮した海夢が、雫たんらしくない表情を向けてくれた瞬間、鳥肌が立ちました…!
そこで見舞われたトラブルは予想外でした。人形の衣装しか作ってこなかった五条君らしい失敗で、リアリティを感じます。
今回の好きなセリフTOP3
- あたし一番好きなキャラ50人いるから!(喜多川海夢)
- 筆 持ってきてくれ(五条薫・新菜の祖父)
- 喜多川さん…とても奇麗でした……(五条新菜)
1位はオタクとして「わかる…」と真顔で共感したくなる海夢の発言。イベントの楽しみ方といい、断じてファッションオタクではありませんね。
2位はプロフェッショナルとしての魂を感じさせてくれた、おじいちゃんからのお願い。半世紀近く経験を積んだ職人は違う!
3位は帰りの電車でうたた寝しかけている五条君の、半ば無意識下のつぶやき。これによって、海夢は五条君を恋愛対象と認識します。
『その着せ替え人形は恋をする』
作品タイトルが回収された瞬間でした。
『その着せ替え人形は恋をする』3巻 感想レビュー(ネタバレ度:中)
1〜2巻では五条君と海夢以外のキャラクターは、五条君のおじいちゃん以外ほとんど登場しませんでした。
3巻にて、コスプレ道のキーパーソンとなる乾 紗寿叶、通称ジュジュ様が登場します。


海夢があこがれるレイヤーさんだよ!世間は案外狭いよね。
まだ読んでいない方はご注意ください
ジュジュ様襲来!五条君を尾行したワケ
雨の降る中、雛人形店を訪れたジュジュ。
海夢がSNSにアップした写真を見て、五条君にコスプレ衣装を依頼しにやってきたのです。
五条君は難色を示しますが、ハプニングによってジュジュに負い目があったこと。
また、海夢の大好きなコスプレイヤーであることが決め手で、なし崩し的に受諾する展開に。
履修のために海夢の家へ
コスプレ衣装と真摯に向き合う五条君。ジュジュが扮するキャラを知るべく、登場アニメを観ようとします。
全126話のコンプリートボックスを所持する海夢が、父親の単身赴任のために一人暮らしをしている自宅へお邪魔します。
当初は緊張していた五条君も、ためらいが吹き飛ぶ海夢の部屋を目の当たりにして落ち着きました。
そして年頃の男女2人は、ド健全にアニメと食事を堪能し、次なるステップ(コスプレの!)に進んでいきます。
メンターによって進化する、五条と海夢のコスプレ世界
上述のおうちデートをはじめ、ジュジュ様によるコスプレ講義や妹・心寿との顔合わせ、廃病院でのロケハンと盛りだくさんな3巻でした!乾姉妹はどちらも良いキャラしてますが、私は圧倒的に心寿派です!!背が高い女子好きなんですよ〜。
コスプレ初心者の2人だけでは行き詰まってしまうので、経験者のアドバイスはありがたいですね。
メイクや撮影の工夫には、素人目線で「そんな細部までこだわってるのか」と感心しました!
今回の好きなシーンTOP3
- 作った衣装に「一目惚れした」と言われて、感涙にむせぶ五条君(22話)
- 大ファンのコスプレイヤーを目前に大はしゃぎする海夢(17話)
- 期末テスト後、勢いとノリで「海行くべ!」と誘う海夢(23話)
1位のセリフは、創作活動をしている方なら誰もが嬉しくなる褒め言葉!上手いと評されるよりも、感情的な「好き」が心を揺さぶります。
2位はほんっと〜に嬉しそうな海夢の姿が微笑ましい。喜怒哀楽を素直に出すのは、彼女の美点のひとつです!
3位も海夢のパリピっぷりが表れたシーン。振り回されつつ、初めての海に見惚れる五条君の横顔も輝いていました!
余談:作者さんの性別について
1巻の時点で「キャラクターの描き方が女性っぽいな」と感じていましたが、2〜3巻で確信に変わりました。
調べればすぐにわかるので、隠してるわけじゃないんでしょうけど。筆名が男性なので、一見して誤解しました。
髪の毛や体つきの表現、あと心情描写が細やかでね〜!青年漫画と女性作家の長所が融合した作品です。
まとめ:恋愛や友情要素が加わり、広がっていくコスプレの輪と2人の世界
イベントへの参戦、先輩レイヤーとの交流。五条君と海夢が、どんどんコスプレの深い沼にハマっていきます。
同時に、五条君への恋心を自覚した海夢の表情がすんごいかわいい!!キラキラしてます!乙女です!
…あー…マジだ めっちゃいいじゃん…
— 引用元:『その着せ替え人形は恋をする』3巻より
個人的に「こいつ男の趣味悪いな」って思うと萎えちゃうんですが。
五条君は、海夢というハイパー美少女から好意を寄せられるに足る男です。若いのに人間できてるぜ…。



海夢の次回の衣装も、2人の恋模様がどんな風に進展するかも楽しみ〜!
夏の海で締められた3巻、読後感は爽やかそのもの。
次巻以降はコスプレにかける情熱が前面に出るでしょうから、熱い展開が見られそうです!